Xserver(1) X ウィンドウシステムのディスプレイサーバ

書式

X [option ...]

説明

X は X ウィンドウシステムのディスプレイサーバの一般名である。これは、与 えられたマシン上でもっともよく使われるサーバを動作させるための適切な サーバのバイナリへのリンクまたはコピーであることが多い。

サーバの起動

X サーバは通常 X ディスプレイマネージャプログラム xdm(1) から起 動する。 このユーティリティはシステムのブートファイルから起動され、サーバの動作 を保持し、ユーザ名とパスワードの入力待ちを行い、ユーザセッションを開始 する。

複数のウィンドウシステムを実行するようにインストールするには、 xdm の代わりに xinit(1) ユーティリティを使うことが必要だろ う。しかし、xinit は起動スクリプトの生成に使うツールであり、エン ドユーザが使うためのものではない。サイト管理者は xdm を使うこと か、初心者ユーザ向けの別のインタフェースを用意することが強く求め られる。

X サーバはユーザが直接起動することもできるが、この方法は一般にテスト用 のものであり、通常の操作では使わない方がよい。プラットフォームによって は、あるデバイス(例えば /dev/mouse)へのアクセスが制限されていることが しばしばあり、X サーバを起動するためにユーザが特別な権限を必要とするこ とがある。

X サーバが起動しているときは一般にディスプレイを全て使用する。 コンソールがディスプレイであるワークステーションで動作している場合、サー バの動作中にはコンソールでログは見ることはできない。

オプション

全ての X サーバは以下のコマンド行オプションを受け付ける:
:displaynumber
X サーバは与えられた displaynumber で起動される。指定を省略した 場合、displaynumber はデフォルト値の 0 である。 複数の X サーバを一つのホストで同時に起動するときは、それぞれのサーバ に固有のディスプレイ番号を指定すること。 使おうとすべきディスプレイ番号をクライアントが知るための方法については、 X(7) のオンラインマニュアルのディスプレイ名(DISPLAY NAMES)の項目 を参照すること。
-a number
ポインタのアクセラレーションを(つまり、レポートされる大きさとユーザが 実際にポインタを動かした量の比率)設定する。
-ac
ホストベースのアクセス制御機構を無効にする。任意のホストからアクセ スを可能にし、任意のホストからのアクセス制御リストの変更を可能にする。 慎重に使用すること。 このオプションは主にテストプログラムをリモートから実行するためのもので ある。
-audit level
記録監査レベルを設定する。デフォルトのレベルは1であり、これは接続拒否 だけを報告する。レベル 2 ではさらに成功した接続と切断をすべて報告する。 レベル 4 はセキュリティ機能拡張がサポートされていれば、この機能拡張か らのメッセージを表示する。このメッセージは認証の生成と破棄、セキュリティ ポリシーに対する違反を含む。 レベル 0 は 記録監査を無効にする。 監査結果は標準エラー出力に出力される。
-auth authorization-file
アクセスの認証に使う許可レコードを持つファイルを指定する。xdmXsecurity のオンラインマニュアルを参照すること。
bc
古いリリースのバグとの互換性のために、一部のエラーチェックを無効にする (例えば、R2 と R3 での xterm とツールキットのバグ回避を有効する)。 このオプションは使うべきではない。
-bs
全ての画面におけるバッキングストアのサポートを無効にする。
-c
キークリック音を無効にする。
c volume
キークリック音の大きさを設定する(0-100 の範囲で設定可能である)。
-cc class
カラー画面のルートウィンドウのビジュアルクラスを設定する。 クラス番号は X プロトコルに規定されている。 必ずしも全てのサーバで有効ではない。
-co filename
RGB カラーデータベースの名前を設定する。デフォルト値は <XRoot>/lib/X11/rgb である。ここで <XRoot> は X11 をインストールしたディ レクトリのルートである。
-core
致命的なエラーが発生したときにサーバに core ダンプを生成させる。
-dpi resolution
画面の解像度をインチ当りのドット数で設定する。 サーバが画面の大きさをハードウェアから認識できないときに使用する。
-deferglyphs whichfonts
遅延グリフ読み込みを使おうとするサーバに対して、フォントの型を指定する。 whichfonts には all(全てのフォント)、none(フォント無し)、16(16ビッ トフォントのみ)のいずれかを指定できる。
-f volume
ベル音の大きさを指定する(0-100 の範囲で設定可能)。
-fc cursorFont
デフォルトのカーソルフォントを設定する。
-fn font
デフォルトのフォントを設定する。
-fp fontPath
フォントのサーチパスを設定する。このパスは X サーバがフォントデータベー スを探すディレクトリをコンマで区切ったリストである。
-help
使用方法のメッセージを表示する。
-I
これ以降のコマンド行引き数を全て無視する。
-kb
これが設定されると XKEYBOARD 機能拡張(存在すれば)が無効になる。
-nolisten trans-type
指定したタイプの通信を無効にする。例えば、TCP/IP 接続を無効にするには -nolisten tcp を指定する。
-noreset
最後のクライアント接続が閉じた時にサーバがリセットされるのを防ぐ。 このオプションは前に指定された -terminate オプションを上書きする。
-p minutes
スクリーンセーバの周期時間を分単位で指定する。
-pn
良く知られたソケット(クライアント用の接続点)の全ての確立に失敗した場合 でもサーバを実行し続けることを認める。しかし、少なくとも一つは確立して いる必要がある。
-r
オートリピートを無効にする。
r
オートリピートを有効にする。
-s minutes
スクリーンセーバのタイムアウト値を分単位で指定する。
-su
全てのスクリーンでセーブアンダー機能を無効にする。
-t number
ポインタのアクセラレーションの閾値(つまり、何ピクセルポインタを移動さ せるとアクセラレーションが有効になるか)をピクセル単位で設定する。
-terminate
サーバのリセット時、動作を継続しないでサーバを終了させる。 このオプションは前に指定された -noreset オプションを上書きする。
-to seconds
標準の接続タイムアウト値を秒単位で設定する。
-tst
テスト機能拡張(例えば、XTEST, XTrap, XTestExtension1, RECORD)を全て無 効にする。
ttyxx
無視される。 このオプションは昔の方法で(init から)起動されるサーバ用である。
v
スクリーンセーバでビデオ表示を止める設定にする。
-v
スクリーンセーバでビデオ表示を行う設定にする。
-wm
全てのウィンドウのデフォルトのバッキングストア値を 'WhenMapped' に設定 する。これはバッキングストアを全てのウィンドウに適用するための秘密の方 法である。 マップされた全てのウィンドウはバッキングストアを持つようになるが、サー バがウィンドウに対して報告するバッキングストア属性値はクライアントが確 立した最後の値となる。クライアントがこの値を設定しなかった場合、サーバ はデフォルト値である NotUseful を報告する。この挙動は X プロトコルが必 要としている。X プロトコルでは、サーバはクライアントのバッキングストア の予想値を越えることが認められているが、越えたことをクライアントに知ら せる方法はない。
-x extension
初期化時に指定した機能拡張をロードする。 ほとんどの実装においては、これは何も行わない。
[+-]xinerama
XINERAMA 機能拡張を有効(+)または無効(-)にする。 デフォルトでは無効になっている。

サーバ依存のオプション

X サーバによっては次のオプションを受けつけるものがある:
-ld kilobytes
サーバのデータ空間の上限をキロバイト単位で指定する。 ゼロを指定するとデータのサイズは可能な限り大きくされる。デフォルト値の -1 ではデータ空間の上限は変更されない。
-lf files
サーバがオープンできるファイル数の上限を設定する。 ゼロを指定すると上限は可能な限り大きくされる。デフォルト値の -1 では 上限は変更されない。
-ls kilobytes
サーバのスタック空間の上限をキロバイト単位で指定する。ゼロを指定すると スタックの大きさは可能な限り大きくされる。デフォルト値の -1 ではスタッ ク空間の上限は変更されない。
-logo
スクリーンセーバで X ウィンドウシステムのロゴを表示する。 現在はこれをクライアントから変更する方法はない。
nologo
スクリーンセーバで X ウィンドウシステムのロゴを表示しない。 現在はこれをクライアントから変更する方法はない。

XDMCP のオプション

XDMCP をサポートしている X サーバには次のオプションが指定できる。 詳しくは X Display Manager Control Protocol 仕様書を参照すること。
-query host-name
XDMCP を有効にして Query パケットを指定したホストに送る。
-broadcast
XDMCP を有効にして BroadcastQuery パケットをネットワークへブロードキャ ストする。最初に反応したディスプレイマネージャをセッション用に選択され る。
-indirect host-name
XDMCP を有効にして IndirectQuery パケットを指定したホストに送る。
-port port-num
XDMCP パケット用のポート番号を別の番号に切り替える。-query, -broadcast, -indirect オプションよりも前に指定しなければならない。
-once
XDMCP セッションの終了時にサーバを(リセットでなく)終了させる。
-class display-class
XDMCP はディスプレイ固有のオプションのためのリソース検索で使う追加のディ スプレイ修飾子を持つ。このオプションはその値を設定し、そのデフォルト値は "MIT-Unspecified" である(あまり役に立つ値ではない)。
-cookie xdm-auth-bits
XDM-AUTHENTICATION-1 をテストするときに、サーバとマネージャでプライベー トキーが共有される。このオプションはプライベートデータを設定する(デー タをコマンド行から指定するので、あまりプライベートとは言えない!)。
-displayID display-id
これはさらに別の XDMCP 固有の値であり、ディスプレイマネージャが共有キー の位置を特定できるよう各ディスプレイを識別することを可能にする。

キーボードオプション

XKEYBOARD 機能拡張をサポートしている X サーバには次のオプションを指定 できる:
-xkbdir directory
キーボードレイアウトファイル用のベースディレクトリを指定する。
-xkbmap filename
起動時にロードされるキーボード記述。
[+-]accessx
AccessX キーシーケンスを有効(+)または無効(-)にする。
-ar1 milliseconds
オートリピートが始まるよりも前にキーが離されなくてはならない時間の長さ をミリ秒単位で設定する。
-ar2 milliseconds
オートリピートを生成するキー入力の間に経過する時間の長さをミリ秒で設定 する。

サーバの多くにはデバイス特有のコマンド行オプションもある。詳しくは 個別のサーバ用のオンラインマニュアルを参照すること。

セキュリティ拡張のオプション

セキュリティ機能拡張をサポートしている X サーバには次のオプションを指 定できる:
-sp filename
指定した名前のファイルを、以下に示す書式で書かれているセキュリティポリ シーファイルとしてサーバに読み込ませ、解釈させる。このファイルはサーバ の起動時に読み込まれ、サーバのリセットの度に再読み込みされる。

セキュリティポリシーファイルの文法は次の通りである。 記法: "*" は前の要素 0 個以上繰り返されることを意味し、"+" は前の要素 が 1 個以上繰り返されることを意味する。<foo/bar> の解釈では / の後の文 字列は無視される。これは次のセクションの <foo> のインスタンスを区別す るために使う。

<policy file> ::= <version line> <other line>*
<version line> ::= <string/v> '\n'
<other line > ::= <comment> | <access rule> | <site policy> | <blank line>
<comment> ::= # <not newline>* '\n'
<blank line> ::= <space> '\n'
<site policy> ::= sitepolicy <string/sp> '\n'
<access rule> ::= property <property/ar> <window> <perms> '\n'
<property> ::= <string>
<window> ::= any | root | <required property>
<required property> ::= <property/rp> | <property with value>
<property with value> ::= <property/rpv> = <string/rv>
<perms> ::= [ <operation> | <action> | <space> ]*
<operation> ::= r | w | d
<action> ::= a | i | e
<string> ::= <dbl quoted string> | <single quoted string> | <unqouted string>
<dbl quoted string> ::= <space> " <not dqoute>* " <space>
<single quoted string> ::= <space> ' <not squote>* ' <space>
<unquoted string> ::= <space> <not space>+ <space>
<space> ::= [ ' ' | '\t' ]*
文字集合:
<not newline> ::= '\n' を除く任意の文字
<not dqoute>  ::= " を除く任意の文字
<not squote>  ::= ' を除く任意の文字
<not space>   ::= <space> に含まれる文字を除く任意の文字

上述の記法に関連する意味付けは以下のようになる。

<version line>, ファイルの最初の行であり、ファイルのフォーマットのバー ジョンを示す。サーバがバージョン <string/v> を認識できない場合、ファイ ルの残りの部分は無視される。ここで説明するファイルフォーマットに対する バージョン文字列は "version-1" である。

一度 <version line> を過ぎると、上記の文法に合わない行は無視される。

<comment> 行は無視される。

現在は<sitepolicy> 行は無視される。これは XC-QUERY-SECURITY-1 認証方式で使われるサイトポリシーを指定する予定である。

<access rule> 行は、名前が <property/ar> X ウィンドウのプロパティに影 響を及ぼすような、信頼できないクライアントからのリクエストにどのように 反応するかを指定する。 このセクションの残りでは <access rule> の解釈を説明する。

与えられた <property/ar> のインスタンスに適用される <access rule> に対 しては、<property/ar> は <window> によって指定されたウィンドウの集合に 含まれるウィンドウ上になければならない。<window> が any の場合、規則は 任意のウィンドウの <property/ar> に適用される。<window> が root の場合、 規則ルールはルートウィンドウの <property/ar> だけに適用される。

<window> が <required property> の場合は、以下のような適用が行われる。 <required property> が <property/rp> ならば、ウィンドウも その <property/rp> を持っている時に、その値にかかわらず規則が適用される。 <required property> が <property with value> の場合は、<property/rpv> も <string/rv> で指定された値を持っていなければならない。この場合は、 プロパティは STRING 型で フォーマット 8 でなければならず、null で終了 する 1 つ以上の文字列を含まなければならない。<string/rv> にマッチする 文字列があった場合は、規則が適応される。

文字列のマッチングの定義は、一度確認を行う単純な大文字小文字を区別した 文字列の比較である。<string/rv> 内に現われた '*' 文字は、「任意の文字列」 を表すワイルドカードを意味する。<string/rv> は文字列のどこにでも複数の ワイルドカードを含むことができる。例えば、 "x*" は x で始まる全ての文 字列にマッチし、"*x" は x で終わる文字列とマッチし、 "*x*" は x を含む すべての文字列にマッチする。そして "x*y*" は x で始まりそれ以降に y を含む文字列にマッチする。

与えられた <property/ar> に対して複数の <access rule> 行が存在すること がある。 この規則はファイル内で出現した順にテストされる。適用された最初に規則が 使われる。

<perms> は信頼できないクライアントが試みる操作と、サーバがこれらの操作 に対して行うべきアクションを指定する。

<operation> は r (read), w (write), d (delete) のいずれかである。 以下の表は、The Open Group の実装において X プロトコルのプロパティ リクエストがこれらの操作とどのように対応しているかを示す。

GetProperty     r, または delete = true ならば r かつ d
ChangeProperty  w
RotateProperties        r かつ w
DeleteProperty  d
ListProperties  なし。信頼されていないクライアントも必ず全てのプロパティをリストできる

<action> は a (allow), i (ignore), e (error) のいずれかである。allow はリクエストを信頼できるクライアントが発行したかのように実行することを 意味する。 ignore はリクエストを no-op (何もしない)のように扱う。GetProperty の場 合は、ignore はプロパティがあった時には実際の値に関わらず空のプロパティ 値を返すことを意味する。error はリクエストを実行せず、アトムにプロパティ 名をセットして BadAtom エラーを返すことを意味する。error は全てのプロ パティに対するデフォルトのアクションである。これにはセキュリティポリシー ファイルにリストされていないものも含まれる。

<action> は次の <action> に出会うまで以降のすべての <operation> に適用 される。このように、irwad は ignore, read, write, allow delete を意味 する(訳注: irwad はそれぞれの頭文字を集めたものになっている)。

GetProperty と RotateProperties は複数の操作(r と d または r と w) を 実行する。異なるアクションが操作に適用された場合、最も厳しいアクション がリクエスト全体に適用される。部分的なリクエストの実行は行われない。 厳しさの順序は allow < ignore < error である。 したがって、プロパティに対する <perms> が ired (ignore read, error delete)であり、 信頼されていないクライアントがそのプロパティに対して delete = True と して GetProperty を試みた場合には、エラーが返されるがプロパティ値は返 されない。同様に RotateProperties のプロパティのいずれかで読み書きいず れも許可されていない場合、プロパティ値は変更されることなくエラーが返さ れる。

セキュリティポリシーファイルの例を示す。

version-1 
# アプリケーションリソースの取得を許すが、書き込みは許可しない
property RESOURCE_MANAGER     root      ar iw
property SCREEN_RESOURCES     root      ar iw
# カットバッファを使う試みを無視する。エラーを起こすとアプリケーション
# がクラッシュし、アクセスを許すと多くの情報を与えすぎてしまう。
property CUT_BUFFER0          root      irw
property CUT_BUFFER1          root      irw
property CUT_BUFFER2          root      irw
property CUT_BUFFER3          root      irw
property CUT_BUFFER4          root      irw
property CUT_BUFFER5          root      irw
property CUT_BUFFER6          root      irw
property CUT_BUFFER7          root      irw
# Motif を使う場合は、多分この設定を使うとよいだろう。
property _MOTIF_DEFAULT_BINDINGS        rootar iw
property _MOTIF_DRAG_WINDOW   root      ar iw
property _MOTIF_DRAG_TARGETS  any       ar iw
property _MOTIF_DRAG_ATOMS    any       ar iw
property _MOTIF_DRAG_ATOM_PAIRS         any ar iw
# 次の2つの規則は信頼されていない xwininfo -tree を動作できるようにする。
property WM_NAME              any       ar
# WM_CLASS の取得を許可する。ただし、許可は WM_NAME を持つウィンドウに
# 対してのみである。この設定は必要以上に厳しいかもしれないが、
# <required property> 機能をうまく示し、かつ「トップレベルウィンドウの
# み」であることをいうためでもある。
property WM_CLASS             WM_NAME   ar
# 次の3つは信頼されていない xlsclients を動作させる。この設定を入れる前に
# は注意深く検討すること。これはクライアントのマシン名を漏らし、コマンドが露
# わになりすぎてしまうかもしれない。
property WM_STATE             WM_NAME   ar
property WM_CLIENT_MACHINE    WM_NAME   ar
property WM_COMMAND           WM_NAME   ar
# xstdmap が生成した標準カラーマップを信頼されていないクライアントに
# 利用させるには、以下の行を含めること。
property RGB_DEFAULT_MAP      root      ar
property RGB_BEST_MAP         root      ar
property RGB_RED_MAP          root      ar
property RGB_GREEN_MAP        root      ar
property RGB_BLUE_MAP         root      ar
property RGB_GRAY_MAP         root      ar
# xcmsdb が生成した色管理データベースを信頼されていないクライアントに
# 利用させるには、以下の行を含めること。
property XDCCC_LINEAR_RGB_CORRECTION    rootar
property XDCCC_LINEAR_RGB_MATRICES      rootar
property XDCCC_GRAY_SCREENWHITEPOINT    rootar
property XDCCC_GRAY_CORRECTION          rootar
# 多くのベンダがサポートしているオーバレイビジュアルを
# 信頼されていないクライアントに利用させるには、以下の行を含めること。
property SERVER_OVERLAY_VISUALS         rootar
# 他の機能を示すためのダミーの例
# 変わったプロパティ名とエラー条件の明示的な指定
property "property with spaces"         'property with "'aw er ed
# ウィンドウが "son" で終わる値を持つプロパティ OhBoy を持っている場合、
# Woo-Hoo の削除を認める。読み書きはエラーとなる。
property Woo-Hoo              OhBoy = "*son"ad

ネットワーク接続

X サーバは以下のトランスポートタイプのサブセット(サポートされるものは プラットフォームに依存して決まる)を使ったクライアント接続をサポートし ている: TCP/IP, Unix ドメインソケット、DECnet, SVR4 ローカル接続の派 生物。クライアントが使おうとするトランスポートのタイプの指定方法を知る ためには、X(7) のオンラインマニュアルの ディスプレイ名(DISPLAY NAMES)のセクションを参照すること。

アクセスの承諾

X サーバは次の認証プロトコルのサブセット(サポートされるものはプラット フォーム依存で決まる)したサブネットを実装している: MIT-MAGIC-COOKIE-1, XDM-AUTHORIZATION-1, SUN-DES-1, MIT-KERBEROS-5。これらのプロトコルの操 作に関する情報については Xsecurity(1) のオンラインマニュアルを参 照すること。

上記のプロトコルが要求する認証データは、-auth コマンド行オプション で指定する個人のファイル名でサーバに渡される。サーバがリセット後 (またはサーバ開始時)の最初の接続を受け付けるときはいつも、サーバはこの ファイルを読む。 このファイルが許可レコードを含む場合、ローカルホストは自動的にはサーバ へのアクセスを許可されず、ファイルが持つ許可レコードの一つを接続設定情 報で送ったクライアントだけがアクセスを許可される。このファイルのバイナ リフォーマットの説明については Xau のオンラインマニュアルを参照 すること。このファイルの管理とファイルの内容のリモートホストへの配布に ついては、xauth(1) のオンラインマニュアルを参照すること。

X サーバは、特定マシン上のクライアントからの接続を許可するかどうか決め るためにホストに基づくアクセス制御リストも使用する。 他の認証機構を使用しない場合、このリストの初期状態はサーバが動作してい るマシンと /etc/Xn.hosts ファイル(n はサーバのディス プレイ番号)にリストされている任意のマシンからなる。このファイルのそれ ぞれの行はインターネットのホスト名(例えば expo.lcs.mit.edu)または二重 コロンフォーマットのDECnet のホスト名(例えば hydra::)を持つ。いずれの 行に置いても、ホスト名の前後に空白文字があってはならない。以下に例を示 す:

joesworkstation
corporate.company.com
star::
bigcpu::

ユーザはこのリストにホスト名を追加または削除でき、サーバと同じマシンか ら xhost コマンドを使ってアクセス制御を有効にしたり無効にしたり できる。

X FireWall Proxy (xfwp) を sitepolicy 指定なしに使っている場合は、 xfwp 経由で X サーバに接続できるようにするには、ホストベースの 認証を有効にしなければならない。 xfwp が設定ファイルなしで、したがって sitepolicy 指定なしで実行さ れている場合や、`xhost +' が実行されてホストベースの認証チェックが無効に なっている X サーバを xfwp が使っている場合には、クライアントが xfwp 経由でこの X サーバに接続しようとすると X サーバは接続を 拒否する。このプロキシの詳細については xfwp(1) を参照すること。

X プロトコルにはウィンドウ操作の許可やクライアントの動作に対して制限を 与えるという考えは本来備わっていない。つまり、プログラムがディスプレイ に接続できる場合、プログラムにはスクリーンを自由に使うことができる。 セキュリティ機能拡張をサポートしている X サーバの動作はこれよりもかな り良い。なぜなら、接続に使用する認証を経由して、クライアントが信頼され ていないと指定することができるからである。詳しくは xauth(1) のオ ンラインマニュアルを参照すること。クライアントが起こすことがある悪影響 をなくすような制限が信頼されていないクライアントに課される。この制限の 完全な一覧については、セキュリティ機能拡張の仕様を参照すること。

より良い認証と許可のシステムを持つサイトは、セキュリティモデルを追加す るためにライブラリやサーバ内でフックを利用しようと考えるかもしれない。

シグナル

X サーバは次のシグナルに特別な意味を与えている:
SIGHUP
このシグナルを受け取ると、サーバは存在する接続を全て閉じ、全てのリソー スを解放し、全ての値をデフォルト値に戻す。ユーザのメインアプリケーショ ン(普通は xterm がウィンドウマネージャ)が終了し、サーバに後処理 と次のユーザのための準備を行わせるときには必ずディスプレイマネージャが このシグナルを送る。
SIGTERM
このシグナルはサーバきれいに終了させる。
SIGUSR1
このシグナルは上記の他のシグナルとはかなり異なる。サーバの起動時に、サー バは通常の SIG_DFL の代わりに SIG_IGN として継承した SIGUSR1 があるか どうかチェックする。この場合、様々な接続スキームを設定した後にサーバは その親プロセスに SIGUSR1 を送る。 xdm はこの機能を使ってサーバへの接続が利用可能になるときを認識す る。

フォント

X サーバは、ディレクトリかフォントサーバ(あるいはその両方)からフォント を取得する。
 X サーバ がフォントをオープンしようとするときに使うディレクトリとフォ ントサーバのリストは、フォントパスで制御する。

フォントパスのデフォルト値は "<XRoot>/lib/X11/fonts/misc/, <XRoot>/lib/X11/fonts/Speedo/, <XRoot>/lib/X11/fonts/Type1/, <XRoot>/lib/X11/fonts/75dpi/, <XRoot>/lib/X11/fonts/100dpi/" である。ここで <XRoot> は X11 のインストールツリーのルートを指す。

フォントパスは -fp オプションで設定するか、サーバが起動した後に xset(1) で設定することができる。

ファイル

/etc/Xn.hosts
ディスプレイ番号 n に対する初期アクセス制御リスト
<XRoot>/lib/X11/fonts/misc, <XRoot>/lib/X11/fonts/75dpi, <XRoot>/lib/X11/fonts/100dpi
ビットマップフォント用ディレクトリ
<XRoot>/lib/X11/fonts/Speedo, <XRoot>/lib/X11/fonts/Type1
アウトラインフォント用ディレクトリ
<XRoot>/lib/X11/fonts/PEX
PEX フォント用ディレクトリ
<XRoot>/lib/X11/rgb.txt
色データベース
/tmp/.X11-unix/Xn
ディスプレイ番号 n に対する UNIX ドメインソケット
/tmp/rcXn
ディスプレイ番号 n に対する Kerberos 5 replay キャッシュ
/usr/adm/Xnmsgs
init(8) からの起動した場合のディスプレイ番号 n に対するエ ラーログファイル
<XRoot>/lib/X11/xdm/xdm-errors
サーバが xdm(1) から起動した場合のデフォルトのエラーログファイル

注意: <XRoot> は X11 のインストールツリーのルートを指す。

著者

オリジナルのサンプルサーバは Digital Equipment Corporation の Susan Angebranndt, Raymond Drewry, Philip Karlton, Todd Newman が多くの人々 の支援を受けて開発した。それ以来、このサーバは MIT の Keith Packard と Bob Scheifler が大幅に書き換えた。 R5 以降は Dave Wiggins に引き継ぎが行われ、実質的な改良がなされている。