vsyslog(3) システムロガーにメッセージを送る

Other Alias

closelog, openlog, syslog

書式

#include <syslog.h>

void openlog(const char *ident, int option, int facility);
void syslog(int priority, const char *format, ...);
void closelog(void);

#include <stdarg.h>

void vsyslog(int priority, const char *format, va_list ap);

glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):

vsyslog(): _BSD_SOURCE

説明

closelog() はシステムのログ記録用プログラム(システムロガー syslogd(8)) ヘの接続を終了する。 closelog() は必須ではない。

openlog() はログを出力しようとしているプログラムからログ記録用 プログラム (system logger) への 接続を開始する。 ident で指定した文字列は各メッセージの前に付与される。 通常は ident にはプログラム名が設定される。 ident が NULL の場合、プログラムが ident として使用される (POSIX.1-2008 では ident が NULL の場合の動作は規定されていない)。

option 引き数は、 openlog() の動作とその後の syslog() の呼び 出しを制御するフラグを指定する。 facility 引き数は、後で syslog() を呼び出す際に facility が指定されなかった場合に使用される デフォルト値 を決定する。 optionfacility については後述する。 openlog() は必須ではなく、必要に応じて syslog() から呼び出される。 syslog() が呼び出した場合、 ident のデフォルト値は NULL になる。

syslog() はログメッセージを出力し、 syslogd(8) がそのメッセージを記録する。 priority 引き数は facilitylevel との組合せで指定する。 facilitylevel の取りうる値は後述する。 残りの format 引き数は printf(3) と似たスタイルの書式とその書式に与える値である。 format 中の2文字 %m はその時点での errno に関連するエラーメッセージ文字列 (strerror) によって置き換えられる。 必要な場合は末尾に改行が加えられる。

vsyslog() 関数は syslog() と同じ機能を持つが、可変引き数リストを指定することができる点が異なる。 指定された引き数は、 stdarg(3) 可変引き数リストマクロを用いて取得される。

以下のサブセクションでは、 optionfacilitypriority の値を設定するのに使用されるパラメータを説明する。

option

下記の値を OR したものが openlog() の option 引き数になる:
LOG_CONS
エラーがあれば、システムロガーに送る一方でシステムコンソールにも直接書く。
LOG_NDELAY
ログ記録用プログラムとの接続を即座に開始する (通常は、最初のメッセージが記録される時に接続を開く)。
LOG_NOWAIT
メッセージを記録する際に生成される子プロセスの終了を待たない。 (GNU C ライブラリは子プロセスを生成しない。 したがって、このオプションは Linux では無効である。)
LOG_ODELAY
LOG_NDELAY の反対。 syslog() が呼ばれるまで、接続の開始を行わない。 (このオプションはデフォルトであり、特に指定する必要はない。)
LOG_PERROR
stderr にも出力する。 (POSIX.1-2001 と POSIX.1-2008 では定義されていない)
LOG_PID
個々のメッセージに PID を含める。

facility

facility 引き数はメッセージに記録されるプログラムのタイプを指定するために使われる。 これによって異なるタイプのプログラムからのメッセージは異なる扱いを するように設定ファイル( syslog.conf(5)) に定義できる。
LOG_AUTH
セキュリティ/認証 メッセージ
LOG_AUTHPRIV
セキュリティ/認証 メッセージ (プライベート)
LOG_CRON
クロックデーモン (cron と at)
LOG_DAEMON
特定の facility 値を持たないシステムデーモン
LOG_FTP
ftp デーモン
LOG_KERN
カーネルメッセージ (ユーザプロセスから生成することはできない)
LOG_LOCAL0 から LOG_LOCAL7
ローカルな使用のためにリザーブされている
LOG_LPR
ラインプリンタ・サブシステム
LOG_MAIL
メール・サブシステム
LOG_NEWS
USENET ニュース・サブシステム
LOG_SYSLOG
syslogd(8) によって内部的に発行されるメッセージ
LOG_USER (デフォルト)
一般的なユーザレベルメッセージ
LOG_UUCP
UUCPサブシステム

level

これはメッセージの優先度を指定する。 優先度の高いものから低いものの順で下記する。
LOG_EMERG
システムが使用不可
LOG_ALERT
直ちに行動を起こさなければならない
LOG_CRIT
危険な状態
LOG_ERR
エラーの状態
LOG_WARNING
ワーニングの状態
LOG_NOTICE
通常だが重要な状態
LOG_INFO
インフォメーションメッセージ
LOG_DEBUG
デバッグレベルのメッセージ

setlogmask(3) 関数を使用して、 指定されたレベルのメッセージだけを記録するように 制限することができる。

準拠

openlog(), closelog(), syslog() は SUSv2, POSIX.1-2001, POSIX.1-2008 で規定されている (但し vsyslog() は除く)。 POSIX.1-2001 では facility として LOG_USERLOG_LOCAL* の値 が規定されているだけである。 しかしながら、 LOG_AUTHPRIVLOG_FTP という例外はあるが、 それ以外の facility の値は多くの UNIX システムで使われている。 option の値の LOG_PERROR の値は、 POSIX.1-2001 と POSIX.1-2008 では規定されていないが、 UNIX の多くのバージョンで使用可能である。

注意

openlog() 呼び出しの ident 引き数は、値がそのまま保持されていることを前提にしている。 それゆえ、 ident で指定された文字列が変更されると、 syslog() は変更された文字列の追加するだろうし、 指定された文字列が存在しなくなった場合、結果は未定義である。 最も移植性がある方法は、文字列定数を使用することである。

ユーザーから与えられたデータを format として渡してはならない。 代わりに以下を使うこと。

    syslog(priority, "%s", string);

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。