startx(1) X のセッションを初期化する

書式

startx [ [ client ] options ... ] [ -- [ server ] options ... ]

説明

startx スクリプトはxinit へのフロントエンドであり、 X ウィンドウシステムの1セッションを実行するための、 いくぶんわかりやすいユーザインタフェースを提供する。 このスクリプトは、引き数なしで実行することが多い。

startx のすぐ後ろの引き数は、 xinit(1) と同じ方法でクライアントを実行するために使われる。 特殊な引き数 '--' で、クライアントへの引き数の終わりとサーバオプションの始まりを表す。 startx にサーバオプションを指定して、セッションごとにデフォルトの 色の深さやディスプレイデバイスが表現するインチ当たりのドット数を変更したり、 XFree86(1) サーバで利用でき、 XF86Config(5x) ファイルで指定する複数のサーバレイアウトを利用できると便利なことがある。 サーバの引き数を指定する例を以下にいくつか示す。 指定できる引き数を調べるには、X サーバのマニュアルページを参照すること。

startx -- -depth 16

startx -- -dpi 100

startx -- -layout Multihead

実行するクライアントを決めるため、 startx はユーザのホームディレクトリにある .xinitrc ファイルを最初に参照する。 このファイルがない場合には、 xinit のライブラリディレクトリにある xinitrc ファイルが使われる。 コマンド行でクライアントのオプションが指定されている場合には、この オプションが優先され、 xinit(1) の動作に戻る。 実行するXサーバを決めるため、 startx はユーザのホームディレクトリの .xserverrc ファイルを最初に参照する。 このファイルがない場合には、 xinit のライブラリディレクトリにある xserverrc ファイルが使われる。 コマンド行でサーバのオプションが指定された場合には、そちらが優先さ れる。通常は、ユーザが .xserverrc を用意する必要はほとんどない。 引き数の詳細については、マニュアルページの xinit(1) を参照すること。

システム全体用の xinitrc ファイルと xserverrc ファイルは、 /usr/X11R6/lib/X11/xinit ディレクトリにある。

.xinitrc は通常、ユーザの好みにしたがってクライアントを起動するスクリプトである。 このシェルスクリプトが終了すると startx はサーバを終了させ、その他に必要とされるセッション終了処理を行う。 .xinitrc から起動されるクライアントのほとんどはバックグラウンドで実行しなければ ならない。フォアグラウンドで実行するのは最後のクライアントだけであり、 このクライアントが終了したときにセッションが終了する。この「特殊な」 クライアントとしては、セッションマネージャ、ウィンドウマネージャ、 xterm がよく使われる。

複数のクライアントを起動し、「最後の」アプリケーションとしてウィンドウ マネージャを動作させる .xinitrc の例を以下に挙げる。ウィンドウ マネージャの設定が適切であるものとすると、ユーザがメニューで「終了」を 選択すれば X が終了する。

xrdb -load $HOME/.Xresources
xsetroot -solid gray &
xbiff -geometry -430+5 &
oclock -geometry 75x75-0-0 &
xload -geometry -80-0 &
xterm -geometry +0+60 -ls &
xterm -geometry +0-100 &
xconsole -geometry -0+0 -fn 5x7 &
exec twm

環境変数

DISPLAY
クライアントが接続するディスプレイの名前が設定される。この環境変数は ユーザが設定する 変数であり、情報取得のための変数ではない。
XAUTHORITY
この変数は、まだ定義されていなければ、 $(HOME)/.Xauthority に設定される。 この設定は、 -auth 引き数が指定されていない場合に、ローカルホストに対して ホストベースの危険な認証を自動的に設定してしまわないようにするための ものである。 X のクライアント/サーバ認証の詳しい説明については、 Xserver(1) および Xsecurity(7) のマニュアルページを参照すること。

ファイル

$(HOME)/.xinitrc
起動するクライアントを指定する。通常は、プログラムをバックグラウンドで 起動するシェルスクリプトである。
$(HOME)/.xserverrc
起動する X サーバを指定する。デフォルトでは X である。
/usr/X11R6/lib/X11/xinit/xinitrc
ユーザのホームディレクトリに .xinitrc ファイルが無い場合に起動するクライアントを指定する。
/usr/X11R6/lib/X11/xinit/xserverrc
ユーザのホームディレクトリに .xinitrc ファイルがない場合に、起動する X サーバを指定する。