set_tid_address(2) スレッド ID へのポインタを設定する

書式

#include <linux/unistd.h>


long set_tid_address(int *tidptr);

説明

各プロセスについて、カーネルは set_child_tidclear_child_tid という 2 つの属性を保持する。この 2 つの属性はデフォルトでは NULL である。
set_child_tid
プロセスが CLONE_CHILD_SETTID フラグを指定した clone(2) によって開始された場合、 set_child_tidclone(2) のシステムコールの ctid 引き数で渡された値に設定される。
set_child_tid が設定された場合、一番最初に新しいプロセスが行うことは、 このアドレスに自身の PID を書き込むことである。
clear_child_tid
プロセスが CLONE_CHILD_CLEARTID フラグを指定した clone(2) によって開始された場合、 clear_child_tidclone(2) のシステムコールの ctid 引き数で渡された値に設定される。

システムコール set_tid_address() は呼び出し元プロセスの clear_child_tid の値を tidptr に設定する。

clear_child_tid が NULL でないプロセスが終了すると、そのプロセスが他のプロセスまたはスレッドとメモリを共有していれば、 clear_child_tid で指定されたアドレスに 0 が書き込まれ、カーネルは以下の処理を実行する。


    futex(clear_child_tid, FUTEX_WAKE, 1, NULL, NULL, 0);

この処理の結果、このメモリアドレスに対する futex wait を実行しているプロセスを一つ起こす (wake)。 futex wake 操作でのエラーは無視される。

返り値

set_tid_address() は常に現在のプロセスの PID を返す。

エラー

set_tid_address() は常に成功する。

バージョン

この呼び出しは Linux 2.5.48 以降で存在する。 ここで書かれた詳細は Linux 2.5.49 以降で有効である。

準拠

このシステムコールは Linux 固有である。

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。