書式
#include <netdb.h> /* Or <unistd.h> on some systems */
int rcmd(char **ahost, int inport, const char *locuser,
const char *remuser, const char *cmd, int *fd2p);
int rresvport(int *port);
int iruserok(uint32_t raddr, int superuser,
const char *ruser, const char *luser);
int ruserok(const char *rhost, int superuser,
const char *ruser, const char *luser);
int rcmd_af(char **ahost, int inport, const char *locuser,
const char *remuser, const char *cmd, int *fd2p,
sa_family_t af);
int rresvport_af(int *port, sa_family_t af);
int iruserok_af(uint32_t raddr, int superuser,
const char *ruser, const char *luser, sa_family_t af);
int ruserok_af(const char *rhost, int superuser,
const char *ruser, const char *luser, sa_family_t af);
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):
rcmd(), rcmd_af(), rresvport(), rresvport_af(), iruserok(), iruserok_af(), ruserok(), ruserok_af(): _BSD_SOURCE
説明
rcmd() 関数は、スーパーユーザーがリモートマシンでコマンドを実行する ために 用いられる。このとき特権ポート番号をもとにした認証スキームが 用 いられる。 rresvport() 関数は、特権ポート空間のアドレスを持つソケッ トの ディスクリプターを返す。 iruserok() 関数と ruserok() 関数は、 rcmd() でサービス要求を行ったクライアントの認証を行うために サーバー が用いる関数である。 以上の 4 つの関数は、 rshd(8) サーバーによって (他の関数とともに) 利用される。rcmd()
rcmd() 関数は gethostbyname(3) を用いて *ahost の参照を行う。ホストが存在しない場合は -1 を返す。 見つかった場合は *ahost にホストの標準名 (standard name) をセットして、 予約されているインターネットポート inport 経由でサーバーへの接続を確立する。
接続に成功したら、インターネットドメインに存在するタイプ SOCK_STREAM のソケットが呼び出しもとに返される。 このソケットの相手側はリモートコマンドの stdin および stdout に接続される。 fd2p がゼロでない場合は、制御プロセスへの接続がもう一つ用意され、 そのディスクリプターが *fd2p にセットされる。 制御プロセスはリモートコマンドからの標準エラー出力 (unit 2) を このチャンネルに返す。 また制御プロセスはこの接続から受け取ったバイトデータを UNIX シグナルの番号として扱い、リモートコマンドのプロセス グループへとシグナルを送る。 fd2p がゼロの場合は、 stderr (リモートコマンドの unit 2) は stdout と一緒にまとめられる。またこの場合はリモートプロセスへ 任意のシグナルを送ることはできなくなる。 ただし帯域外 (out-of-band) データを用いれば、 リモートプロセスの注意を引くことはできるかもしれない。
プロトコルの詳細は rshd(8) に記述されている。
rresvport()
rresvport() 関数は特権ポートにバインドされたソケットを取得するために 用いられる。 このソケットは rcmd() などの関数での利用に適している。 インターネットポートの特権ポートは、 0 から 1023 の範囲である。特権プロ セス (CAP_NET_BIND_SERVICE) だけが特権ポートをバインドすることができ る。 glibc の実装では、この関数は特権ポートの検索範囲を 512 から 1023 までの範囲に制限している。 port 引き数は入出力両用で使用される。呼び 出し時にこの引き数で渡された値は特権ポートを巡回検索する際の開始ポイン トとして使用され、(成功で) 返る際にはこの引き数にバインドされたポート 番号が格納される。
iruserok() と ruserok()
iruserok() と ruserok() 関数は、まず以下の引数を取る: リモートホスト (iruserok() は IP アドレスで、 ruserok() はホスト名で指定)、 2 つのユーザー名、ローカルユーザーの名前が スーパーユーザーのものであるかどうかを示すフラグ、である。 もしユーザーがスーパーユーザーではない場合は、これらの関数は /etc/hosts.equiv ファイルをチェックする。ファイルが見つからなかったり、 内容のチェックに失敗した場合には、 ローカルユーザーのホームディレクトリにある .rhosts ファイルをチェックして、サービス要求が許可されているかどうか調べる。
このファイルが存在しなかったり、 通常ファイル (regular file) ではなかったり、 指定ユーザーまたはスーパーユーザー以外の所有だったり、 所有者以外から書き込み可能だったりした場合には、 このチェックは自動的に失敗する。 マシンの名前が hosts.equiv にリストされていたり、 ホストとリモートユーザーの名前が .rhosts ファイルに書かれていた場合には 0 が返される。 それ以外の場合には、 iruserok() と ruserok() は -1 を返す。 (gethostname(2) によって取得される) ローカルドメインがリモートのドメインと同じ場合は、 マシンの名前だけを指定すればよい。
リモートホストの IP アドレスがわかっている場合は、 ruserok() よりも iruserok()を用いる方が良いだろう。 ruserok() はリモートホストの所属するドメインの DNS サーバーが信頼できなくても 使用できるからである。
*_af() 版
上記で述べた関数は全て IPv4 (AF_INET) ソケットで動作する。 "_af" 版では追加の引き数があり、この引き数でソケットアドレス ファミリーを指定できる。これらの関数では、 af 引き数には AF_INET か AF_INET6 が指定できる。 rcmd_af() では追加で AF_UNSPEC も指定できる。返り値
rcmd() 関数は成功すると有効なソケットディスクリプターを返す。 失敗すると -1 を返し、標準エラー出力に診断メッセージを 表示する。rresvport() 関数は、成功するとバインドされた有効なソケットディスクリプターを返す。 失敗すると -1 を返し、グローバル変数 errno をエラーの原因に対応する値にセットする。 エラーコード EAGAIN は、この関数においては「すべてのネットワークポートが使用中」 という意味を表す。
ruserok() と iruserok() の返り値については、上述の説明を参照。
バージョン
関数 iruserok_af(), rcmd_af(), rresvport_af(), ruserok_af() は glibc バージョン 2.2 以降で提供されている。準拠
POSIX.1-2001 にはない。 BSD 系、Solaris や他の多くのシステムに存在する。 これらの関数は 4.2BSD で登場した。 "_af" が付くバージョンはより最近に 追加されたもので、あまり多くのシステムには存在しない。バグ
iruserok() と iruserok_af() は glibc バージョン 2.12 以降のヘッダ でのみ宣言されている。この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。