pivot_root(8) root ファイルシステムを変更する

書式

pivot_root new_root put_old

説明

pivot_root はカレントプロセスの root ファイルシステムを put_old ディレクトリに移動し、 new_root を新しい root ファイルシステムにする。 pivot_root(8) は pivot_root(2) を呼び出しているだけなので、詳細は後者の man ページにあたって欲しい。

呼び出しプロセスの root とカレントワーキングディレクトリ (cwd) は pivot_root の実装に依存して変わったり変わらなかったりする。 以下はどちらの場合にも動作する pivot_root の起動方法だが、 pivot_rootchroot の両方が現在の PATH に入っている必要がある。

cd new_root
pivot_root . put_old
exec chroot . command

chroot は古い root と新しい root の両方で使えなければならない。 なぜなら pivot_root がシェルの root ディレクトリを暗黙のうちに変更するかどうかは わからないからである。

exec chroot は動作している実行ファイルを変更する。 これは後で古い root ディレクトリがアンマウントされるために必要なのである。 また標準入力・標準出力・標準エラー出力が古い root ファイルシステムの デバイスを指していて、 root ファイルシステムを busy 状態にするかもしれない。 これらは chroot を実行するときに簡単に変更できる (以下を参照。 先頭のスラッシュがないので (相対パスで指定しているので)、 pivot_root がシェルの root を変更する場合でもしない場合でも動作することに注目。)

対話シェルから root ファイルシステムを /dev/hda1 に変更する:

mount /dev/hda1 /new-root
cd /new-root
pivot_root . old-root
exec chroot . sh <dev/console >dev/console 2>&1
umount /old-root

新しい root ファイルシステムを 10.0.0.1:/my_root から NFS でマウントし、 init を起動する:

ifconfig lo 127.0.0.1 up   # for portmap
# configure Ethernet or such
portmap   # for lockd (implicitly started by mount)
mount -o ro 10.0.0.1:/my_root /mnt
killall portmap   # portmap keeps old root busy
cd /mnt
pivot_root . old_root
exec chroot . sh -c 'umount /old_root; exec /sbin/init' \
  <dev/console >dev/console 2>&1