kerneld(8) ユーザ空間でカーネルの動作を実行する (モジュールのオンデマンドロードなど)

警告

kerneld は Linux カーネル 2.1.90 の時点で obsolete となり、 kmod カーネルスレッドと cron エントリによって置き換えられた。 2.0 カーネルを使っているのでなければ、 kerneld は使おうなどとも思わないほうがよい。

書式

kerneld [ debug ] [ keep ] [ delay=<seconds> ] [ type=<message number> ]

説明

kerneld は未使用モジュールを自動削除するほか、 専用の IPC メッセージキューを経由してカーネルからのリクエストに応答し、 カーネルの特定のタスクをユーザ空間で実行する。 ユーザ空間からこのキューへのアクセスは、 以下の操作でキューをオープンすることによって行える:

        qid = msgget(IPC_PRIVATE, 0600 | IPC_KERNELD);

各タスクはメッセージタイプを使ってリクエストする。 これは <linux/kerneld.h> で指定されている。

kerneld メッセージの構造体は以下の通り。

        struct kerneld_msg {
                long mtype;
                long id;
                char text[1];
        };

ここで id フィールドは kerneld
 からカーネルへの応答メッセージの数として使われる。 id フィールドが 0 ならば、kerneld からの応答はないということである。
(なお、要求側の pid をプロトコルヘッダに入れる、 新しい構造体が提案されている。)

応答が求められた場合には、kerneld の動作の終了ステータスが id フィールドに格納される。

text フィールドは、特定の kerneld 動作に カーネルから渡されたパラメータを保持するために使われる。

オプションを以下に示す:

debug
デバッグ機能を有効にすると、タスクを実行する度に kerneld の現在のステータスを見ることができるようになる。 デバッグ機能や他の全てのパラメータの制御は kdstat ユーティリティで行える。
keep
keep オプションを指定すると kerneld はアンロード中のモジュールに対する全てのリクエストを無視する。 このオプションは、(何らかの理由で) モジュールがアンロードされることが全く起こらないシステムでは 役立つかもしれない。 このオプションは、毎分 (あるいは <delay> 秒ごとに) 実行される未使用のモジュールの自動削除も禁止する。
delay=<seconds>
delay オプションは未使用モジュールの削除に関する kerneld のタイムアウト時間を変更する。 デフォルトの 60 秒から任意の時間に変更できる。
type=<message type>
デフォルトのタイプは -255 である。これは、kerneld がタイプの値が 255 以下である全てのメッセージを監視するという意味である。 正の数を指定すると、kerneld は指定されたタイプのメッセージだけを監視する。

kerneld はエラーメッセージを syslog の LOG_DAEMON ファシリティに送る。

履歴

kerneld のアイディアは Jacques Gelinas <[email protected]> との議論から思い付いた。