書式
#include <locale.h>
locale_t duplocale(locale_t locobj);
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):
duplocale():
-
- glibc 2.10 以降:
- _XOPEN_SOURCE >= 700
- glibc 2.10 より前:
- _GNU_SOURCE
説明
duplocale() 関数は locobj が参照するロケールオブジェクトの複製を作成する。locobj が LC_GLOBAL_LOCALE の場合、 duplocale() は setlocale(3) により判定されたグローバルロケールのコピーを含むロケールオブジェクトを作成する。
返り値
成功すると、 duplocale() は新しいロケールオブジェクトのハンドルを返す。 エラーの場合、 (locale_t) 0 を返し、 errno にエラーの原因を示す値を設定する。エラー
- ENOMEM
- ロケールオブジェクトの複製を作成するのに十分なメモリがない。
バージョン
duplocale() 関数は GNU C ライブラリのバージョン 2.3 で初めて登場した。準拠
POSIX.1-2008.注意
ロケールの複製は以下のことを行う際に役立つ。- *
- ロケールオブジェクトのコピーを作成し、 (newlocale(3) を使って) いくつかのカテゴリだけを変更する。
- *
-
現在のロケールに対するハンドルを取得する。 このハンドルはロケールハンドルを受け取る他の関数 (toupper_l(3) など) で使用できる。
これを行うには、 以下の呼び出しが返した値を duplocale() に渡せばよい。
loc = uselocale((locale_t) 0); - 上記の uselocale(3) の呼び出しは値 LC_GLOBAL_LOCALE を返すことがあり、 この値を toupper_l(3) などの関数に渡した場合の動作は不定なので、 この方法は必要である。 duplocale() を呼び出すことで、確実に LC_GLOBAL_LOCALE が使用可能なロケールオブジェクトに変換することができる。 下記の「例」を参照。
duplocale() で作成された各ロケールオブジェクトは freelocale(3) を使って解放すべきである。
例
以下のプログラムでは、 toupper_l(3) に渡す現在のロケールのハンドルを取得するのに uselocale(3) と duplocale() を使用する。 このプログラムはコマンドライン引き数として文字列を一つ取る。この文字列は、大文字に変換され、標準出力に表示される。 以下は使用例である。$ ./a.out abc ABC
プログラムのソース
#define _XOPEN_SOURCE 700 #include <ctype.h> #include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <locale.h> #define errExit(msg) do { perror(msg); exit(EXIT_FAILURE); \ } while (0) int main(int argc, char *argv[]) { locale_t loc, nloc; char *p; if (argc != 2) { fprintf(stderr, "Usage: %s string\n", argv[0]); exit(EXIT_FAILURE); } /* この一連の処理は必要である。 uselocale() は toupper_l() の 引き数として渡すことができない値 LC_GLOBAL_LOCALE を返す 可能性があるからである。 */ loc = uselocale((locale_t) 0); if (loc == (locale_t) 0) errExit("uselocale"); nloc = duplocale(loc); if (nloc == (locale_t) 0) errExit("duplocale"); for (p = argv[1]; *p; p++) putchar(toupper_l(*p, nloc)); printf("\n"); freelocale(nloc); exit(EXIT_SUCCESS); }
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。