vis(3) 文字を表示可能文字にエンコードする

書式

Fd #include <vis.h> Ft char * Fn vis char *dst char c int flag char nextc Ft int Fn strvis char *dst char *src int flag Ft int Fn strvisx char *dst char *src int len int flag

説明

Fn vis 関数は、文字 Fa c を表現する文字列を Fa dst にコピーする。 Fa c をエンコードする必要がない場合、変更せずにコピーされる。 文字列は NUL 文字で終端され、文字列の最後の文字へのポインタが返される。 エンコードされた文字の最大長は 4 文字である (最後の NUL 文字 は含まない)。 よって、複数の文字をバッファにエンコードする場合、 バッファの大きさは「エンコードされる文字の数の 4 倍 + 最後の NUL 文字 のための 1 文字」でなければならない。 引き数 flag は、エンコードまたは表示可能文字に変更される文字の デフォルトの範囲を変更する。 その他の文字 Fa nextc は、エンコードフォーマット VIS_CSTYLE (以下で説明する) を選択する場合にのみ使われる。

Fn strvis と Fn strvisx 関数は、 文字列 Fa src を表示可能文字にしたものを Fa dst にコピーする。 Fn strvis 関数は、 Fa src を NUL 文字 が現れるまでエンコードする。 Fn strvisx 関数は、 Fa src をちょうど Fa len 文字分だけエンコードする (これは NUL を含むデータブロックをエンコードするのに役立つ)。 どちらの形式でも、 Fa dst は NUL 終端される。 Fa dst の大きさは、エンコードされる文字 Fa src の数の 4 倍 (+ NUL のための 1 文字分) でなければならない。 どちらの形式でも dst の文字数が返される (最後の NUL は含まない)。

エンコードは唯一のもので、全て表示文字から構成された可逆表現になっている。 つまり、エンコードされた文字は、 unvis(3) や strunvis(3) 関数を用いて元の形式にデコードすることができる。

制御可能な 2 つのパラメータがある: エンコードされる文字の範囲と使われる表現のタイプである。 デフォルトでは、スペース・タブ・改行以外の非表示文字がエンコードされる ( isgraph(3) を参照)。 以下のフラグは、この動作を変更する:

VIS_SP
スペースもエンコードする。
VIS_TAB         
タブもエンコードする。
VIS_NL
改行もエンコードする。
VIS_WHITE       
VIS_SP |
VIS_TAB | VIS_NL と同じ。
VIS_SAFE        
「安全でない」文字だけをエンコードする。
安全でないとは、一般的な端末に予期せぬ機能を動作させてしまうことを意味する。 現在のところ、スペース・タブ・改行・バックスペース・ベル・リターン - そして全ての表示可能文字 - はエンコードされない。

3 つのエンコード形式がある。 全ての形式で、バックスペース `\' が特殊シーケンスの始まりとして使われる。 2 つのバックスペースが実際のバックスペースを表現するために使われる。 以下のような可視化フォーマットがある:

(デフォルト)
メタ文字 (8 ビット目を使う文字) を表現するためには、 `M' を使うこと。 制御文字 ( iscntrl(3) を参照) を表現するためには、キャレット `^' を使うこと。 以下のフォーマットが使われる:

\^C
制御文字 `C' を表す。 `\000' から `\037' の間の文字と `\177' ( `\^?' と同じ) を表す。
\M-C
8 ビット目がセットされている文字 `C' を表す。 `\241' から `\376' の間の文字を表す。
\M^C
8 ビット目がセットされている制御文字 `C' を表す。 with the 8th bit set. Spans characters `\200' から `\237' の間の文字と `\377' ( `\M^?' と同じ) を表す。
\040
ASCII スペースを表す。
\240
メタスペースを表す。

VIS_CSTYLE
標準的な非表示文字を表現するために、 C 言語形式のバックスラッシュシーケンスを使う。 このような文字を表すために以下のシーケンスが使われる:
\a - BEL (007)


\b - BS (010)


\f - NP (014)


\n - NL (012)


\r - CR (015)


\t - HT (011)


\v - VT (013)


\0 - NUL (000)


このフォーマットを使った場合、 NUL 文字を `\000' ではなく `\0' としてエンコードするかを決定するために、引き数 nextc が参照される。 Fa nextc が 1 個の 8 進数の場合、曖昧さを避けるため後者の表現が使われる。

VIS_OCTAL
3 個の 8 進数シーケンスを使う。 `\ddd' という形式が使われる。 ここで d は 8 進数を表す。

さらに、もう 1 つフラグ VIS_NOSLASH がある。 このフラグは、2 つのバックスラッシュと デフォルトフォーマットで前におかれるバックスラッシュを使わないようにする。 (つまり、制御文字は `^C' で、メタ文字は `M-C' で表される)。 このフラグが設定されると、エンコードは曖昧で可逆でなくなる。

履歴

これらの関数は 4.4BSD で初めて登場した。