stdio(3) 標準入出力ライブラリ関数

書式

#include <stdio.h>

FILE *stdin;
FILE *stdout;
FILE *stderr;

説明

標準入出力ライブラリは、簡単かつ効果のよい、 バッファリングされたストリーム入出力インターフェースを提供する。 入力と出力は論理データストリームに割り付けられ、 入出力の物理的な特徴は隠蔽される。 このライブラリに属する関数とマクロを以下に挙げる。 より詳しい情報は個々の man ページから得ることができる。

ファイルを オープン (open) する ことによって、 ストリームは外部ファイル (通常は物理デバイス) に連結される。 この操作には新しくファイルを作成することも含まれる。 既存のファイルと同じ名前のファイルを新たに作ると、 もとのファイルの中身が捨てられてしまう。 ファイルが位置指定リクエストをサポートしている (ディスクファイルなどが相当する。逆の例としては端末が挙げられる) 場合、 そのストリームに連結された ファイル位置指示子 (file position indicator) は、追加モードで開かれない限りファイルの先頭 (0 バイト目) に位置する。 追加モードを使用した場合、 位置指示子をファイルの先頭に置かれるか末尾に置かれるかは規定されていない。 位置指示子は、 以降の読み書きや位置指定リクエストによって変更される。 すべての入力は、 fgetc(3) 関数を次々に呼び出して文字を読み込んだかのように行われる。 一方すべての出力は、 fputc(3) 関数を次々に呼び出して文字を書き込んだかのように行われる。

ファイルを クローズ (close) する ことによって、そのファイルはストリームから切り離される。 出力ストリームは、そのストリームがファイルから切り離される前にフラッシュされる (書き込まれていないすべてのバッファの内容がホスト環境に転送される)。 FILE オブジェクトへのポインタの値は、 ファイルを閉じた後では不確定になる (ゴミになってしまう)。

ファイルはその後 (同じまたは別のプログラムによって) 再びオープンされることもあり、 その内容が修正されたり変更されたりする (そのファイルで先頭への位置移動が可能であれば)。 main 関数がもとの呼び出し側に返ったり、 exit(3) 関数が呼ばれた場合、 プログラムの終了の前に 現在開いているすべてのファイルは閉じられる (その結果、すべての出力ストリームはフラッシュされる)。 プログラムの停止に abort(3) のような他の方法を用いた場合には、 ファイルが正しく閉じられる保証はない。

プログラムの起動時に 3 個のテキストストリームが予め定義されており、 それらは明示的に開く必要がない。 標準入力 (standard input) (通常の入力を読み取るのに使う)、 標準出力 (standard output) (通常の出力を書き込むのに使う)、 標準エラー出力 (standard error) (診断出力を書き込むのに使う) である。 これらのストリームは stdin, stdout, stderr と短縮して表現される。 オープンされたときには、 標準エラーストリームは 完全にはバッファリングされていない。 標準入力ストリームと標準出力ストリームは、 ストリームがインタラクティブなデバイスを参照していなければ、 完全にバッファリングされている。

端末デバイスを参照する出力ストリームは、 デフォルトでは常に行単位でバッファリングされている。 ただしそのようなストリームにおけるバッファ内の出力は、 端末デバイスを参照している入力ストリームからの読み込みがあるたびに、 自動的に書き込まれる。 出力端末に行の一部を書き込んだ後で大量の計算を行う場合、 出力が表示されるように、計算に取りかかる前に標準出力に対して fflush(3) を実行する必要がある。

stdio ライブラリは libc ライブラリの一部であり、ルーチンは コンパイラー cc(1) と pc(1) によって必要な時に自動的に読み込まれる。 後述する man ページ中の「書式」の節には、 どのインクルードファイルを使用しなければならないか、 その関数のコンパイラー宣言はどのようなものか、 どのような外部変数が関係するのかが示されている。

BUFSIZ, EOF, FILENAME_MAX, FOPEN_MAX, L_cuserid, L_ctermid, L_tmpnam, NULL, SEEK_END, SEEK_SET, SEEK_CUR, TMP_MAX, clearerr, feof, ferror, fileno, getc, getchar, putc, putchar, stderr, stdin, stdout はマクロとして定義されている。 これらの名前は、現在の定義を #undef で削除しない限り、再利用することはできない。 マクロ関数の関数版として、 feof, ferror, clearerr, fileno, getc, getchar, putc, putchar がある。 マクロの定義が明示的に消去されている場合には、 これらを使用することになるだろう。

関数のリスト

関数説明

clearerrストリームの状態の確認とリセット
fcloseストリームをクローズする
fdopenストリームをオープンする
feofストリームの状態の確認とリセット
ferrorストリームの状態の確認とリセット
fflushストリームをフラッシュする
fgetc次の文字または語を入力ストリームから獲得する
fgetposストリームの位置を取得する
fgetsストリームから行を取得する
fileno引き数であるストリームの整数値のディスクリプタを返す
fopenストリームをオープンする
fprintf書式付き出力変換
fpurgeストリームをフラッシュする
fputc文字または語をストリームに出力する
fputs行をストリームに出力する
freadバイナリーストリーム入出力
freopenストリームをオープンする
fscanf書式付き入力変換
fseekストリームの位置指示子を移動する
fsetposストリームの位置指示子を移動する
ftellストリームの位置を取得する
fwriteバイナリーストリーム入出力
getc次の文字または語を入力ストリームから取得する
getchar次の文字または語を入力ストリームから取得する
gets行を入力ストリームから取得する
getw次の文字または語を入力ストリームから取得する
mktemp他と重ならないテンポラリファイル名を作る
perrorシステムエラーメッセージ
printf書式付き出力変換
putc文字または語をストリームに出力する
putchar文字または語をストリームに出力する
puts行をストリームに出力する
putw文字または語をストリームに出力する
removeディレクトリエントリを削除する
rewindストリームの位置指示子を移動する
scanf書式付き入力変換
setbufストリームのバッファリングの操作
setbufferストリームのバッファリングの操作
setlinebufストリームのバッファリングの操作
setvbufストリームのバッファリングの操作
sprintf書式付き出力変換
sscanf書式付き入力変換
strerrorシステムエラーメッセージ
sys_errlistシステムエラーメッセージ
sys_nerrシステムエラーメッセージ
tempnamテンポラリファイルの操作
tmpfileテンポラリファイルの操作
tmpnamテンポラリファイルの操作
ungetc入力ストリームへ 1 文字戻す。
vfprintf書式付き出力変換
vfscanf書式付き入力変換
vprintf書式付き出力変換
vscanf書式付き入力変換
vsprintf書式付き出力変換
vsscanf書式付き入力変換

準拠

stdio ライブラリは C89 に準拠している。

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。