pthread_attr_setscope(3) pthread_attr_getscope

書式

#include <pthread.h>
int pthread_attr_setscope(pthread_attr_t *attr, int scope);
int pthread_attr_getscope(pthread_attr_t *attr, int *scope);


-pthread でコンパイルしてリンクする。

説明

pthread_attr_setscope() 関数は、 attr が参照するスレッド属性オブジェクトの contention scope 属性を scope で指定された値に設定する。 contention scope 属性により、 スレッドが CPU などのリソースを取り合うスレッド集合が規定される。 POSIX.1-2001 では scope に指定する値として 2 つの値が規定されている。
PTHREAD_SCOPE_SYSTEM
スレッドは、同じスケジューリング割り当てドメイン (一つ以上のプロセッサ のグループ) にある、システム上の全てのプロセスの自分以外の全ての スレッドとリソースを取り合う。 PTHREAD_SCOPE_SYSTEM のスレッドは、スケジューリングポリシーと 優先度に基づき、互いに相対的にスケジューリングされる。
PTHREAD_SCOPE_PROCESS
スレッドは、contention scope が PTHREAD_SCOPE_PROCESS で作成された 同じプロセスの自分以外の全てのスレッドとリソースを取り合う。 PTHREAD_SCOPE_PROCESS のスレッドは、スケジューリングポリシーと優先度 に基づき、同じプロセスの他のスレッドと相対的にスケジューリングされる。 POSIX.1-2001 では、これらのスレッドがシステム上の他のプロセスのスレッド や同じプロセス内の contention scope が PTHREAD_SCOPE_SYSTEM で作成 された他のスレッドとどのようにリソースを取り合うかは、 規定されないままになっている。

POSIX.1-2001 で求められているのは、スレッド実装がこれらの contention scope のうち少なくとも 1 つをサポートすることだけである。 Linux は PTHREAD_SCOPE_SYSTEM をサポートしているが、 PTHREAD_SCOPE_PROCESS はサポートしていない。

複数の contention scope をサポートしているシステムで、 pthread_create(3) を呼び出した際に pthread_attr_setscope() で行ったパラメータ設定を有効にするには、 呼び出し側で pthread_attr_setinheritsched(3) を使って 属性オブジェクト attr の inherit-scheduler 属性を PTHREAD_EXPLICIT_SCHED に設定しておかなければならない。

pthread_attr_getscope() は、 スレッド属性オブジェクト attr の contention scope 属性を scope が指すバッファに入れて返す。

返り値

成功すると、これらの関数は 0 を返す。 エラーの場合、0 以外のエラー番号を返す。

エラー

pthread_attr_setscope() は以下のエラーで失敗する場合がある。
EINVAL
scope に無効な値が指定された。
ENOTSUP
scope に値 PTHREAD_SCOPE_PROCESS が指定された。 この値は Linux でサポートされていない。

準拠

POSIX.1-2001.

注意

PTHREAD_SCOPE_SYSTEM contention scope では、通常は、一つの ユーザ空間スレッドは一つのカーネルスケジューリング・エンティティに 直接結び付けられる。 Linux では、廃止予定の LinuxThreads 実装も新しい NPTL 実装もこれに 該当し、両方とも 1:1 で結び付けられるスレッド実装となっている。

POSIX.1-2001 では、 contention scope 属性のデフォルト値は 実装時で定義されるものと規定されている。

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。