書式
#include <unistd.h>char *getpass( const char *prompt);
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):
getpass():
-
- glibc 2.2.2 以降:
-
_BSD_SOURCE ||
(_XOPEN_SOURCE >= 500 ||
_XOPEN_SOURCE && _XOPEN_SOURCE_EXTENDED) &&
!(_POSIX_C_SOURCE >= 200112L || _XOPEN_SOURCE >= 600) - glibc 2.2.2 より前:
- なし
説明
この関数は時代遅れ (obsolete) である。使用しないこと。端末のエコーを有効にせずに入力の読み込みを行いたい場合は、 termios(3) の ECHO フラグの説明を参照のこと。getpass() 関数は /dev/tty (プロセスの制御端末) をオープンし、文字列 prompt を出力する。そして echo をオフにし、一行 (「パスワード」) を読み込み、端末の状態を元に戻して、再び /dev/tty をクローズする。
返り値
getpass() 関数は入力されたパスワード (の最初の PASS_MAX バイトまで) が書きこまれた、 スタティックなバッファーへのポインターを返す。 末尾の改行は含まれない。この文字列はヌルバイト ('\0') で終端される。 このバッファーは、以降の関数コールで上書きされるかもしれない。 エラーが起こると、端末の状態を復元し、 errno を適切な値に設定して、NULL を返す。エラー
この関数は以下のような場合に失敗しうる。- ENXIO
- プロセスが制御端末を持っていない。
ファイル
/dev/tty属性
マルチスレッディング (pthreads(7) 参照)
getpass() 関数はスレッドセーフではない。準拠
SUSv2 には存在するが、過去の名残 (LEGACY) と位置付けられている。 POSIX.1-2001 で削除された。注意
libc4 と libc5 では、 prompt は /dev/tty にではなく stderr に出力された。さらに、 /dev/tty がオープンできない場合は、パスワードは stdin から読み込まれた。 スタティックなバッファーの長さは 128 バイトだったので、 パスワードの最初の 127 文字だけが返された。 パスワードを読んでいる途中には、シグナルの発行 (SIGINT, SIGQUIT, SIGSTOP, SIGSTOP) は無効にされ、 それぞれに対応する文字 (通常は Ctrl-C, Ctrl-\, Ctrl-Z, Ctrl-Y) はそのままパスワードの一部として渡された。 libc 5.4.19 からは行編集が無効にされ、 したがってバックスペースなどもパスワードの一部とみなされるようになった。glibc2 では、 /dev/tty がオープンできない場合は prompt は stderr に書き出され、パスワードは stdin から読み込まれた。 パスワードの長さには制限はなく、 行編集も無効にはされなかった。
SUSv2 によれば、 PASS_MAX の値が 8 以下の場合は、この値は <limits.h> で定義されていなければならない。 いずれの場合でもこの値は sysconf(_SC_PASS_MAX) によって取得できる。 しかし、POSIX.2 は定数 PASS_MAX, _SC_PASS_MAX と関数 getpass() を取り下げた。 libc4 と libc5 では、 PASS_MAX と _SC_PASS_MAX は一度もサポートされたことはない。 glibc2 は _SC_PASS_MAX を受付け、 BUFSIZE (例えば 8192) を返す。
バグ
この関数を呼び出したプロセスは、 できる限り早くそのパスワードを消去 (ゼロクリア) し、 クリアテキストのパスワードが そのプロセスのアドレス空間で見えないようにすべきである。この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。