CPU_SET(3) CPU_XOR,

書式

#define _GNU_SOURCE /* feature_test_macros(7) 参照 */
#include <sched.h>


void CPU_ZERO(cpu_set_t *set);

void CPU_SET(int cpu, cpu_set_t *set);
void CPU_CLR(int cpu, cpu_set_t *set);
int CPU_ISSET(int cpu, cpu_set_t *set);

int CPU_COUNT(cpu_set_t *set);

void CPU_AND(cpu_set_t *destset,
cpu_set_t *srcset1, cpu_set_t *srcset2);
void CPU_OR(cpu_set_t *destset,
cpu_set_t *srcset1, cpu_set_t *srcset2);
void CPU_XOR(cpu_set_t *destset,
cpu_set_t *srcset1, cpu_set_t *srcset2);

int CPU_EQUAL(cpu_set_t *set1, cpu_set_t *set2);

cpu_set_t *CPU_ALLOC(int num_cpus);
void CPU_FREE(cpu_set_t *set);
size_t CPU_ALLOC_SIZE(int num_cpus);

void CPU_ZERO_S(size_t setsize, cpu_set_t *set);

void CPU_SET_S(int cpu, size_t setsize, cpu_set_t *set);
void CPU_CLR_S(int cpu, size_t setsize, cpu_set_t *set);
int CPU_ISSET_S(int cpu, size_t setsize, cpu_set_t *set);

int CPU_COUNT_S(size_t setsize, cpu_set_t *set);

void CPU_AND_S(size_t setsize, cpu_set_t *destset,
cpu_set_t *srcset1, cpu_set_t *srcset2);
void CPU_OR_S(size_t setsize, cpu_set_t *destset,
cpu_set_t *srcset1, cpu_set_t *srcset2);
void CPU_XOR_S(size_t setsize, cpu_set_t *destset,
cpu_set_t *srcset1, cpu_set_t *srcset2);

int CPU_EQUAL_S(size_t setsize, cpu_set_t *set1, cpu_set_t *set2);

説明

cpu_set_t データ構造体は CPU 集合を表現している。 CPU 集合は sched_setaffinity(2) や同様のインタフェースで使用されている。

cpu_set_t データ型はビット集合として実装されている。 しかし、 データ構造体はその実装を意識せずに扱うものとされており、 CPU 集合のすべての操作は、 このページで説明されているマクロを通して行うべきである。

以下のマクロが CPU 集合 set を操作するために提供されている。

CPU_ZERO()
set をクリアする。 集合には何も CPU が含まれない状態となる。
CPU_SET()
setcpu を追加する。
CPU_CLR()
set から cpu を削除する。
CPU_ISSET()
CPU cpuset のメンバーであるかを検査する。
CPU_COUNT()
set に含まれる CPU 数を返す。

cpu 引き数が指定する場合、 その引き数は副作用を伴うべきではない。 上記のマクロは引き数を複数回評価する可能性があるからである。

そのシステムで利用可能な最初の CPU が cpu 値 0 に対応し、 次の CPU が cpu 値 1 に対応し、 以降も同様である。 定数 CPU_SETSIZE (現在のところ 1024) は cpu_set_t に格納できる最大 CPU 数よりも大きな値である。

以下のマクロは CPU 集合どうしの論理操作を行う。

CPU_AND()
集合 srcset1srcset2 の積集合を destset に格納する (元の集合のいずれかが destset として使用される場合もある)。
CPU_OR()
集合 srcset1srcset2 の和集合を destset に格納する (元の集合のいずれかが destset として使用される場合もある)。
CPU_XOR()
集合 srcset1srcset2 の XOR を destset に格納する (元の集合のいずれかが destset として使用される場合もある)。 XOR とは、 srcset1srcset2 のいずれかに含まれるが、両方には含まれない集合のことである。
CPU_EQUAL()
二つの CPU 集合が全く同じ CPU を含んでいるかを検査する。

動的に大きさが決まる CPU 集合

いくつかのアプリケーションでは CPU 集合の大きさを動的に決める能力 (例えば、 標準の cpu_set_t データ型で定義されたよりも大きい集合を割り当てるなど) が必要となることがあるため、 現在 glibc はこれに対応するためにいくつかのマクロを提供している。

以下のマクロを使うと CPU 集合の割り当てと解放ができる。

CPU_ALLOC()
0 から num_cpus-1 までの範囲の CPU を保持するのに十分な大きさの CPU 集合を割り当てる。
CPU_ALLOC_SIZE()
0 から num_cpus-1 までの範囲の CPU を保持するのに必要な CPU 集合の大きさをバイト数で返す。 このマクロが返す値は、 後述の CPU_*_S() マクロの setsize 引き数として使用できる。
CPU_FREE()
以前に CPU_ALLOC() で割り当てられた CPU 集合を解放する。

名前が "_S" で終わるマクロは "_S" なしの同じ名前のマクロと同等である。 これらのマクロは "_S" なしのものと同じ動作をするが、 動的に割り当てられた、 大きさが setsize バイトの CPU 集合に対して操作を行う点が異なる。

返り値

CPU_ISSET() と CPU_ISSET_S() は、 cpuset に含まれていれば 0 以外を返し、含まれない場合 0 を返す。

CPU_COUNT() と CPU_COUNT_S() は set に含まれる CPU 数を返す。

CPU_EQUAL() と CPU_EQUAL_S() は、 二つの CPU 集合が等しければ 0 以外を返し、 等しくない場合 0 を返す。

CPU_ALLOC() は成功するとポインタを返し、 失敗すると NULL を返す (エラーは malloc(3) と同じである)。

CPU_ALLOC_SIZE() は指定された大きさの CPU 集合を格納するのに必要なバイト数を返す。

他の関数は値を返さない。

バージョン

マクロ CPU_ZERO(), CPU_SET(), CPU_CLR(), CPU_ISSET() は glibc 2.3.3 で追加された。

CPU_COUNT() は glibc 2.6 で初めて登場した。

CPU_AND(), CPU_OR(), CPU_XOR(), CPU_EQUAL(), CPU_ALLOC(), CPU_ALLOC_SIZE(), CPU_FREE(), CPU_ZERO_S(), CPU_SET_S(), CPU_CLR_S(), CPU_ISSET_S(), CPU_AND_S(), CPU_OR_S(), CPU_XOR_S(), CPU_EQUAL_S() は glibc 2.7 で初めて登場した。

準拠

これらのインタフェースは Linux 固有である。

注意

CPU 集合を複製するには、 memcpy(3) を使用する。

CPU 集合はロングワード単位に割り当てられるビット集合なので、 動的に割り当てられた CPU 集合の実際の CPU 数は sizeof(unsigned long) の次の倍数に切り上げられることになる。 アプリケーションは、 これらの余分なビットの内容は不定と考えるべきである。

名前は似ているが、 定数 CPU_SETSIZEcpu_set_t データ型に含まれる CPU 数 (つまり、事実上ビット集合内のビットカウント) を示すのに対して、 マクロ CPU_*_S() の setsize 引き数はバイト単位のサイズである点に注意すること。

「書式」に書かれている引き数と返り値のデータ型は、それぞれの場合でどんな型が期待されるかのヒントである。 しかしながら、 これらのインタフェースはマクロとして実装されているため、 このヒントを守らなかった場合に、 コンパイラが必ずしも全ての型エラーを捕捉できるとは限らない。

バグ

glibc 2.8 以前の 32 ビットプラットフォームでは、 CPU_ALLOC() は必要な空間の割り当てを二度行い、 CPU_ALLOC_SIZE() は本来あるべき値の二倍の値を返す。 このバグはプログラムの動作には影響を与えないはずだが、 無駄にメモリを消費し、 動的に割り当てられた CPU 集合に対して操作を行うマクロの動作の効率が下がる結果となる。 これらのバグは glibc 2.9 で修正された。

以下のプログラムは、動的に割り当てた CPU 集合に対していくつかのマクロを使用する例を示している。

#define _GNU_SOURCE
#include <sched.h>
#include <stdlib.h>
#include <unistd.h>
#include <stdio.h>
#include <assert.h>
int
main(int argc, char *argv[])
{
    cpu_set_t *cpusetp;
    size_t size;
    int num_cpus, cpu;
    if (argc < 2) {
        fprintf(stderr, "Usage: %s <num-cpus>\n", argv[0]);
        exit(EXIT_FAILURE);
    }
    num_cpus = atoi(argv[1]);
    cpusetp = CPU_ALLOC(num_cpus);
    if (cpusetp == NULL) {
        perror("CPU_ALLOC");
        exit(EXIT_FAILURE);
    }
    size = CPU_ALLOC_SIZE(num_cpus);
    CPU_ZERO_S(size, cpusetp);
    for (cpu = 0; cpu < num_cpus; cpu += 2)
        CPU_SET_S(cpu, size, cpusetp);
    printf("CPU_COUNT() of set:    %d\n", CPU_COUNT_S(size, cpusetp));
    CPU_FREE(cpusetp);
    exit(EXIT_SUCCESS);
}

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。