move_pages(2) あるプロセスの個々のページを別のノードに移動する

書式

#include <numaif.h>


long move_pages(int pid, unsigned long count, void **pages,
const int *nodes, int *status, int flags);

-lnuma とリンクする。

説明

move_pages() は、プロセス pid の指定されたページ pagesnodes で指定されたメモリノードに移動する。 移動の結果は status に反映される。 flags では移動されるページに関する制約を指定する。

pid は、移動されるページが属するプロセスの ID である。 別のプロセスのページを移動するためには、呼び出し元が特権 (CAP_SYS_NICE) を持っているか、呼び出したプロセスの実ユーザ ID か実効ユーザ ID が ページ移動対象のプロセスの実ユーザ ID か保存 set-user-ID のどちらかと 一致しなければならない。 pid が 0 の場合、 move_pages() は呼び出したプロセスのページを移動する。

count は移動するページ数である。 count により pages, nodes, status の 3 つの配列の大きさが定義される。

pages は、移動すべきページへのポインタの配列であり、 各ポインタはページ境界に揃えた値を指定すべきである。 pid で指定されたプロセスで見えるアドレスを指定する。

nodes は、各ページの希望の移動場所を示す整数値の配列であり、 配列の各要素はノード番号である。 nodes には NULL を指定することもでき、この場合には move_pages() はどのページも移動しないが、各ページが現在配置されているノードを配列 status に格納して返す。どのページを移動する必要があるかを判断するために、 各ページの状態の取得が必要な場合もある。

status は、各ページの状態を表す整数値の配列である。 この配列に有効な値が格納されるのは、 move_pages() がエラーを返さなかった場合だけである。

flags には、どの種類のページを移動するかを指定する。 MPOL_MF_MOVE は、そのプロセスが排他的に使用しているページだけを移動することを意味する。 MPOL_MF_MOVE_ALL は、複数のプロセス間で共有されているページも移動できることを意味する。 MPOL_MF_MOVE_ALL を使用するためには、そのプロセスが特権 (CAP_SYS_NICE) を持っていなければならない。

status 配列に格納されるページ状態

status 配列の各要素として、以下の値が返される。
0..MAX_NUMNODES
そのページが配置されているノードを示す。
-EACCES
そのページは複数のプロセスによりマップされており、 MPOL_MF_MOVE_ALL が指定された場合にのみ移動できる。
-EBUSY
そのページが現在ビジーであり、移動できない。後でもう一度試すこと。 この状況は、ページが I/O の実行中であったり、カーネルの他のサブシステム がそのページへの参照を保持している場合に発生する。
-EFAULT
そのページが zero page であるか、そのメモリ領域はそのプロセスにより マップされていない。
-EIO
ページを書き戻す (write back) ことができない。 ページが dirty で、ファイルシステムが dirty なページを移動できるような 移動機能を提供していないため、そのページを移動するためにはページを 書き戻さなければならない。
-EINVAL
dirty なページを移動できない。 ファイルシステムが dirty なページを移動するための機能を提供しておらず、 ページを書き戻す能力もない。
-ENOENT
ページが存在しない。
-ENOMEM
移動先のノードでメモリを確保することができない。

返り値

成功すると、 move_pages() は 0 を返す。 エラーの場合、-1 を返し、 errno にエラーを示す値を設定する。

エラー

E2BIG
移動すべきページが多過ぎる。
EACCES
移動先のノードのいずれかが現在の CPU 集合では許可されていない。
EFAULT
パラメータ配列にアクセスできなかった。
EINVAL
flagsMPOL_MF_MOVE でも MPOL_MF_MOVE_ALL でもない値が指定されたか、カーネルスレッドのページを移動させようとした。
ENODEV
移動先のノードのいずれかがオンラインでない。
ENOENT
移動が必要なページが全く見つからなかった。 指定された全てのページが、すでに移動先のノードに存在するか、存在しないか、 無効なアドレスであったか、複数のプロセスによってマップされていて移動でき なかったか、のいずれかであった。
EPERM
呼び出し元は MPOL_MF_MOVE_ALL を指定したが、十分な特権 (CAP_SYS_NICE) を持っていない。 または、呼び出し元が他のユーザに属するプロセスのページを移動しようとしたが、 それを行えるだけの特権 (CAP_SYS_NICE) を持っていなかった。
ESRCH
プロセスが存在しない。

バージョン

move_pages() は、バージョン 2.6.18 で初めて Linux に登場した。

準拠

このシステムコールは Linux 固有である。

注意

ライブラリによるサポートについては numa(7) を参照。

現在の CPU 集合で許可されているノードの集合を取得するには、フラグ MPOL_F_MEMS_ALLOWED を指定して get_mempolicy(2) を使用すればよい。 取得した情報は、CPU 集合の手動または自動での再構成により いつ何時変化してしまうか分からない。

この関数を使用すると、ページの位置 (ノード) が 指定されたアドレスに対して設定されたメモリポリシー (mbind(2) 参照) や指定されたプロセスに対して設定されたメモリポリシー (set_mempolicy(2) 参照) に違反してしまう可能性がある。 つまり、メモリポリシーは move_pages() で使われる移動先ノードを制限しないということである。

ヘッダファイル <numaif.h> は glibc には含まれておらず、 libnuma-devel か同様のパッケージをインストールする必要がある。

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。