live-build(7) Live システムツール集

概要

lb コマンド [-h|--help] [-u|--usage] [-v|--version] [--breakpoints] [--conffile] [--debug] [--force] [--quiet] [--verbose]

説明

live-build は Live システムのイメージをビルドするためのスクリプト集です。live-build の背景となる考え方は、設定ディレクトリを使って Live イメージのビルドに関するあらゆる面を完全に自動化、独自化するツール集ということです。

コマンドは live-build コマンドの名前です (以下参照)。

live-build 及び Live システムプロジェクトについてのさらなる情報は、それぞれの man ページや <http://live-systems.org/manual/> のマニュアルにあります。

オプション

live-build 共有オプション

以下のコマンドラインオプションは全 live-build プログラムでサポートされています。
-h, --help
ヘルプを表示して終了します。
-u, --usage
使用方法を表示して終了します。
-v, --version
バージョン情報を表示して終了します。

live-build 共通オプション

以下のコマンドラインオプションはほとんどの live-build プログラムでサポートされています。各オプションの完全な説明については各プログラムの man ページを見てください。
--breakpoints
ブレークポイントをたどります。
--conffile
独自の設定ファイルを使います。
--debug
デバッグ情報を表示します。
--force
段階ファイルが存在する場合でも強制的にヘルパーを実行します。
--quiet
出力するメッセージを少なくします。
--verbose
出力するメッセージを多くします。

LIVE-BUILD コマンド

live-build は高レベル (「porcelain」) コマンドと低レベル (「plumbing」) コマンドに分割されています。

利用可能な全 live-build コマンドの一覧です。詳しくはそれぞれの man ページを見てください。

高レベルコマンド (PORCELAIN)

高レベルコマンドは主要コマンドといくらかの副次的なユーザ向けユーティリティに分けられています。

主要コマンド

lb_config(1)
live-build の設定ファイルを作成します
lb_bootstrap(1)
第1の段階で基本的な debian システムのパッケージ収集を行います
lb_chroot(1)
第2の段階で chroot の独自化を行います
lb_binary(1)
第3の段階でバイナリイメージの生成を行います
lb_source(1)
オプションの第4の段階でソースイメージの生成を行います
lb_clean(1)
システムのビルド用ディレクトリを掃除します

副次的なコマンド

lb(1)
live-build の包括的なラッパー
lb_build(1)
全段階のラッパーです
lb_local(1)
ローカルの live-build を利用する支援コマンド
lb_testroot(1)
システムが root により構成されていることを確認します

低レベルコマンド (PLUMBING)

live-build の実際の作業は低レベルコマンドにより実装されています。低レベルコマンドはエンドユーザが直接実行することは想定していません。高レベルの主要コマンドに操作させることにより、様々な低レベルコマンドを必ず正しい順で実行するようにしています。しかし、live-build コマンドを自分のスクリプトで再利用したい場合はこの低レベルコマンドが対象となるかもしれません。

この低レベルコマンドへのインターフェイス (オプション群やセマンティクス) は高レベルの主要コマンドよりもはるかに安定していることが求められることに注意してください。それに対して高レベルの主要コマンドへのインターフェイスは、エンドユーザの使い勝手改善のために変更される対象となります。

パッケージ収集用のコマンド

lb_bootstrap_cache(1)
パッケージ収集段階をキャッシュします
lb_bootstrap_debootstrap(1)
debootstrap(8) により Debian システムのパッケージ収集を行います

chroot コマンド

lb_chroot_apt(1)
/etc/apt/apt.conf の管理
lb_chroot_cache(1)
chroot 段階をキャッシュします
lb_chroot_debianchroot(1)
/etc/debian_chroot の管理
lb_chroot_devpts(1)
/dev/pts をマウントします。
lb_chroot_dpkg(1)
/sbin/dpkg の管理
lb_chroot_hacks(1)
hacks (応急的な操作を行うスクリプト) を chroot で実行します
lb_chroot_hostname(1)
/bin/hostname の管理
lb_chroot_hosts(1)
/etc/hosts の管理
lb_chroot_install-packages(1)
キューにあるパッケージを chroot にインストールします
lb_chroot_interactive(1)
対話的にビルドします
lb_chroot_linux-image(1)
/etc/kernel-img.conf の管理
lb_chroot_hooks(1)
ローカルフックを chroot で実行します
lb_chroot_local-includes(1)
ローカルファイルを chroot にコピーします
lb_chroot_packages(1)
chroot にインストールするパッケージをキューに追加します
lb_chroot_local-patches(1)
ローカルのパッチを chroot に適用させます
lb_chroot_local-preseed(1)
ローカルにある debconf の preseed 用ファイルを利用します
lb_chroot_packagelists(1)
chroot にインストールするパッケージ一覧をキューに追加します
lb_chroot_proc(1)
/proc をマウントします。
lb_chroot_resolv(1)
/etc/resolv.conf の管理
lb_chroot_selinuxfs(1)
/selinux をマウントします。
lb_chroot_archives(1)
/etc/apt/sources.list の管理
lb_chroot_sysfs(1)
/sys をマウントします。
lb_chroot_sysv-rc(1)
/usr/sbin/policy-rc.d の管理
lb_chroot_task-lists(1)
タスク一覧を chroot にインストールします

バイナリコマンド

lb_binary_chroot(1)
chroot を chroot にコピーします
lb_binary_debian-installer(1)
debian-installer をバイナリにインストールします
lb_binary_disk(1)
ディスク情報をバイナリにインストールします
lb_binary_grub(1)
grub をバイナリにインストールします
lb_binary_grub2(1)
grub2 をバイナリにインストールします
lb_binary_includes(1)
ファイルをバイナリにコピーします
lb_binary_iso(1)
ISOバイナリイメージをビルドします
lb_binary_linux-image(1)
linux-image をバイナリにインストールします
lb_binary_local-hooks(1)
ローカルフックをバイナリで実行します
lb_binary_local-includes(1)
ファイルをバイナリにコピーします
lb_binary_local-packagelists(1)
ローカルパッケージ一覧をバイナリにインストールします
lb_binary_manifest(1)
名簿ファイルを作成します
lb_binary_checksums(1)
バイナリのチェックサム (md5、sha1、sha256 のどれか) を作成します
lb_binary_memtest(1)
memtest をバイナリにインストールします
lb_binary_net(1)
ネットワークブート用バイナリイメージをビルドします
lb_binary_rootfs(1)
rootfs イメージをビルドします
lb_binary_syslinux(1)
syslinux をバイナリにインストールします
lb_binary_tar(1)
ハードディスクバイナリイメージをビルドします
lb_binary_hdd(1)
バイナリhddイメージをビルドします
lb_binary_win32-loader(1)
win32-loader をバイナリにインストールします

ソースコマンド

lb_source_debian(1)
ソースをダウンロードします
lb_source_debian-live(1)
debian-live の設定をソースにコピーします。
lb_source_disk(1)
ディスク情報をソースにインストールします
lb_source_iso(1)
ISOソースイメージをビルドします
lb_source_checksums(1)
ソースのチェックサム (md5、sha1、sha256 のどれか) を作成します
lb_source_net(1)
build source net image
lb_source_tar(1)
ソースの tar アーカイブをビルドします
lb_source_hdd(1)
ソースhddイメージをビルドします

設定ファイル

例えば lb_bootstrap_debootstrap は利用するオプションを読み取るのに config/bootstrap 及び config/bootstrap_debootstrap という名のファイルを使います。利用するファイルの名前やフォーマットの詳細については個々のコマンドの man ページを見てください。こういったファイルには一般的に、変数とそれに指定する値を1行に1件ずつ収録します。live-build の一部のプログラムでは組にした値や、変数の指定にわずかに複雑な方法を採っているものがあります。

例えば lb_bootstrap_debootstrap は利用するオプションを読み取るのに config/bootstrap 及び config/bootstrap_debootstrap という名のファイルを使います。利用するファイルの名前やフォーマットの詳細については個々のコマンドの man ページを見てください。こういったファイルには一般的に、変数とそれに指定する値を1行に1件ずつ収録します。live-build の一部のプログラムでは組にした値や、変数の指定にわずかに複雑な方法を採っているものがあります。

live-build は実行中のシェルに存在する環境変数を尊重することに注意してください。変数が設定ファイルから読み取れる場合にはそれが環境変数より優先され、コマンドラインオプションで指定された場合にはそれが設定ファイルの値より優先されます。ある変数が見つからない、つまり値がセットされていない場合は live-build が自動的にデフォルト値をセットします。

一部のまれな状況で、そういったファイルにアーキテクチャやディストリビューションにより異なるものを使いたいことがあるかもしれません。「config/段階.アーキテクチャ」または「config/段階_補助.アーキテクチャ」、それと「config/段階.ディストリビューション」または「config/段階_補助.ディストリビューション」(「アーキテクチャ」には「dpkg --print-architecture」の出力と同じもの、「ディストリビューション」には対象ディストリビューションのコード名と同じものが入ります) という名のファイルが存在する場合には他のそれよりも一般的な名前のファイルに優先してそのファイルが利用されます。

設定ファイルは全て、live-build プログラムにより作成されたシェルスクリプトです。それはつまり、通常のシェル構文に従う必要があるということです。また、設定ファイルにはコメントを残しておくこともできます。「#」で始まる行は無視されます。

ファイル

/etc/live/build.conf
/etc/live/build/*

ホームページ

live-build 及び Live システムプロジェクトについてのさらなる情報は、<http://live-systems.org/> のホームページや <http://live-systems.org/manual/> のマニュアルにあります。

バグ

バグは <http://bugs.debian.org/> にあるバグ追跡システムに live-build パッケージのバグ報告として提出するか、<[email protected]> にある Live システムのメーリングリスト宛てにメールを書くことにより報告できます。

作者

live-build は Daniel Baumann さん <[email protected]> により書かれました。