insque(3) キューにアイテムを挿入/削除する

Other Alias

remque

書式

#include <search.h>


void insque(void *elem, void *prev);
void remque(void *elem);

glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):

insque(), remque():

_SVID_SOURCE || _XOPEN_SOURCE >= 500 || _XOPEN_SOURCE && _XOPEN_SOURCE_EXTENDED

説明

関数 insque() と remque() は双方向連結リスト (doubly-linked list) を 操作する。リスト中のそれぞれの要素は、最初の二つの要素がそれぞれ次と前への ポインタであるような構造体である。 リンクリストは、線形 (linear) か環状 (circular) のどちらかになる (線形の場合には、リストの末尾では次へのポインタが NULL になり、 リストの先頭では前へのポインタが NULL になる)。

insque() 関数は elem で示される要素を prev で示される 要素の直後に挿入する。

リストが線形の場合、insque(elem, NULL) を呼び出すと、 リストの最初の要素を挿入することができる。 この呼び出しを行うと elem の次へのポインタと前へのポインタに 共に NULL が設定される。

リストが環状の場合、呼び出す側が、最初の要素の次へのポインタと前へのポインタ が自分自身を指し、また insque() の呼び出しで prev 引き数が最初の要素 を指すように保証しなければならない。

remque() 関数は elem で示される要素を双方向連結リストから取り除く。

準拠

POSIX.1-2001.

注意

伝統的に (SunOS, Linux libc 4,5 では) これらの関数の引き数は struct qelem *型であり、これは以下のように定義されている。

struct qelem {
    struct qelem *q_forw;
    struct qelem *q_back;
    char          q_data[1];
};

この定義は <search.h> をインクルードする前に _GNU_SOURCE を定義することで得られる。

これらの関数のプロトタイプの置かれる場所は、UNIX の種類により異なる。 上記は POSIX 版である。 <string.h> にあるシステムもある。 Linux libc4 と libc5 ではプロトタイプは <stdlib.h> に置かれている。

バグ

glibc 2.4 以前では prev に NULL を指定することができなかった。 その結果、線形のリストを作成するためには、 呼び出し側は、最初の呼び出しで、リストの最初の 2 つの要素を持ち、 各要素の次へのポインタと前へのポインタを適切に初期化したリストを 作成しなければならなかった。

次のプログラムは insque() の使用法を示したものである。 下記はプログラムの実行例である。
$ ./a.out -c a b c
Traversing completed list:
    a
    b
    c
That was a circular list

プログラムのソース

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <unistd.h>
#include <search.h>
struct element {
    struct element *forward;
    struct element *backward;
    char *name;
};
static struct element *
new_element(void)
{
    struct element *e;
    e = malloc(sizeof(struct element));
    if (e == NULL) {
        fprintf(stderr, "malloc() failed\n");
        exit(EXIT_FAILURE);
    }
    return e;
}
int
main(int argc, char *argv[])
{
    struct element *first, *elem, *prev;
    int circular, opt, errfnd;
    /* The "-c" command-line option can be used to specify that the
       list is circular */
    errfnd = 0;
    circular = 0;
    while ((opt = getopt(argc, argv, "c")) != -1) {
        switch (opt) {
        case 'c':
            circular = 1;
            break;
        default:
            errfnd = 1;
            break;
        }
    }
    if (errfnd || optind >= argc) {
        fprintf(stderr,  "Usage: %s [-c] string...\n", argv[0]);
        exit(EXIT_FAILURE);
    }
    /* Create first element and place it in the linked list */
    elem = new_element();
    first = elem;
    elem->name = argv[optind];
    if (circular) {
        elem->forward = elem;
        elem->backward = elem;
        insque(elem, elem);
    } else {
        insque(elem, NULL);
    }
    /* Add remaining command-line arguments as list elements */
    while (++optind < argc) {
        prev = elem;
        elem = new_element();
        elem->name = argv[optind];
        insque(elem, prev);
    }
    /* Traverse the list from the start, printing element names */
    printf("Traversing completed list:\n");
    elem = first;
    do {
        printf("    %s\n", elem->name);
        elem = elem->forward;
    } while (elem != NULL && elem != first);
    if (elem == first)
        printf("That was a circular list\n");
    exit(EXIT_SUCCESS);
}

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.65 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。