dpkg-statoverride(8) ファイルの所有権やモードを変更する

書式

dpkg-statoverride [option...] command

説明

`stat override' とは、パッケージがインストールされるときに、ファイルの所有者やモードを変更するよう dpkg(1) に指示する方式である (補足: ここでは「ファイル」という言葉を使ったが、実際には dpkg が扱えるファイルシステムオブジェクトならなんでもよい。つまりディレクトリやデバイスなどでも OK)。これを用いると、通常 setuid されるプログラムを setuid フラグ無しでインストールしたり、特定のグループのみに実行許可を与えるようにしたりできる。

dpkg-statoverride は stat override のリストを管理するユーティリティである。これには override を追加、削除、表示するという 3 つの基本機能がある。

コマンド

--add user group mode file
file に対する override を追加する。 file はコマンドの実行時に存在していなくてもよい。override は保存され、後で用いられる。ユーザとグループは (例えば rootnobody といった) 名前でも指定できるし、 (例えば #0#65534 といった) 前に `#' 文字をつけた数字でも指定できる。

--update が指定された際に file が存在していた場合、即座に所有者とモードが新しい値に変更される。

--remove file
file に対する override を削除する。このコマンドで file の状態が変化することはない。
--list [glob-pattern]
override をすべてリストする。glob パターンが指定された場合は、マッチした override のみを出力する。override が全くない場合や、glob にマッチするものがひとつもなかった場合は、dpkg-statoverride は終了コード 1 で終了する。
--help
利用方法を表示して終了する。
--version
バージョン情報を表示して終了する。

オプション

--admindir directory
dpkg データベースのディレクトリを変更する。statoverride ファイルもここに保存される。デフォルトは /var/lib/dpkg である。
--force
sanity チェック (正気度チェック) が禁止するような場合でも、強制的に処理を行う。既存の override を変更する場合には、これを指定する必要がある。
--update
ファイルが存在する場合は、直ちにその所有者とモードを新しい値に変更しようとする。
--quiet
動作に関して多くの出力を行わない。

環境変数

DPKG_ADMINDIR
--admindir オプションが設定されておらず、この変数が設定されている場合、この変数の値が dpkg データディレクトリとして用いられる。

ファイル

/var/lib/dpkg/statoverride
システムの現在の stat override のリストが書かれたファイル。dpkg の管理ディレクトリに、dpkg にとって重要な他のファイル (`status' や `available' など) と一緒に置かれる。
注記: dpkg-statoverride は、このファイルを新しいもので置き換える前に、古いファイルのコピーを "-old" を付加した名前で保存する。

翻訳者

高橋 基信 <[email protected]>. 喜瀬 浩 <[email protected]>. 関戸 幸一 <[email protected]>. 鍋谷 栄展 <[email protected]>. 倉澤 望 <[email protected]>. 石川 睦 <[email protected]>. 鵜飼 文敏 <[email protected]>. 中野 武雄 <[email protected]>.

翻訳校正

Debian JP Documentation ML <[email protected]>.